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イソップ物語
「乞食のわがまま」
乞食はかれこれ、もう2時間以上も強い雨と風にさらされていた。
着ているものはずぶ濡れで、寒くてさすがの乞食もこれではたまらない。
とりあえず乞食は、とある家の軒下へ行って一時雨宿りした。
「なんてこった。これじゃ一歩も前に進めねえや。それにしても寒い。腹も減ったなぁ。
このままじゃ行き倒れだ。仕方ない。駄目もとでこの家に掛け合ってみるか」
そう決意して乞食は、早速、家のドアをたたいた。「ドンドン、ドンドン」
中から家の主が出てきて言った。「こんなに夜遅く、何か用か?」
「へぇすみません。服を乾かしたいんですが、チョットだけ中に入れていただけませんか。
この通り、ずぶ濡れで難儀しております。」
「・・・・・・!?・・・・・・!?」
しばしの沈黙の後、主は言った。
「まぁ、服を乾かすぐらいならいいだろう・・・・・」
当初は断るつもりだったのだが、乞食があまりに哀願するものだから、
つい哀れになって中へ入れてやったのだ。
服が乾いたところで乞食が言った。
「すいません。スープを作りたいんですが、鍋を一つ貸していただけないでしょうか。いえね、
体があまりにも冷えているもんですから、スープでも飲んで暖まりたいと思いましてね。へぇ」
これはさすがに断られるだろうと思ったが、ところが主は、中に入れてやったついでだとでも
思ったかどうか、意外にすんなりと了承してくれたのだった。
「ほう、スープねぇ。それで材料は何で作るのかね」
「石です。先ほど拾ってきたこの石で作るんですよ」
石でスープを作ると聞いて、つい主は吹き出してしまった。
「石でスープだなんて、まさか。ハッハッハッハッ・・・・」
そんな主を横目に乞食は、早速借りた鍋を火にかけてお湯を沸かし始めた。
お湯が沸いたところで予定通り乞食は鍋に石を入れた。
「いえね。単なるお湯を飲むよりも、石でも入れたほうが少しは味が出るかと思いましてね。
出汁の代わりですよ。石は・・・・・」
それを見た主は、なんとなく可哀想に思って
「石じゃなんだから、これでも入れなさい」といって塩を持ってきてくれたのだった。
「あ、ありがとうございます。助かります」乞食が塩を入れて味見をしていると
今度は奥から女房が出てきて
「これも一緒に入れて食べてください」といって野菜と肉を持ってきてくれたのだった。
「こ、こりゃありがたい・・・・・・・」
こうして乞食は、この夜思いがけなく大そうなご馳走にありついたのだった。
この話の意味するところは、
「どんなに困難に見えることでも、決して最初から駄目だと決めつけてはいけない。
とにかく駄目もと精神で一度やってみることだ。」
少し工夫してやってみると、意外な協力者が出てきてくれたりすることがあります。
ものごとはやってみるものなんですね。
楽しいことが起こるように考えながら、とにかく「やってみること」なのです。
無理だと思っていたけれど「やってみたら意外とすんなりいった」ということは、
世間ではよくあることなんですね。
というお話でした。
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